「このまま普通に仕事して、普通に歳を取っていくだけでいいんだろうか?」 「本当はもっとできるはずなのに、全然動けてない気がする」 そんなモヤモヤを抱えている自称ADHDの20〜30代男性は、かなり多いのではないだろうか。
かくいう私も、極力体力を使いたくない30代男として、 ソファでスマホをいじりながら「いや〜、さすがにこのままじゃマズいよな」と毎日のように思っているタイプだ。
この記事では、「何者かになりたいのに動けない自称ADHD男性のジレンマ」を、 できるだけやさしく、そして現実的に分解してみたい。 そのうえで、「じゃあ今日、どう一歩だけ動けばいいのか?」まで落とし込んでいこうと思う。
※ここでいう「自称ADHD」は、医学的な診断名ではなく、
「生きづらさや抜けやすさを自覚していて、ADHDっぽいと感じている人」という日常的な意味で使っている。
▼ なぜ自称ADHD男性は「何者かになりたい」と強く感じやすいのだろうか?
まず、なぜ自称ADHDの男性ほど、 「このまま終わりたくない」「何者かになりたい」と強く願いやすいのだろうか。
1. 苦手が目立ちやすく、自己イメージが揺れやすい
自称ADHDの人は、こんな特徴を持っていることが多いだろう。
- 事務作業・細かい確認・継続的な努力が苦手
- 締切ギリギリまで動けない
- 片付け・管理・段取りに抜け漏れが出やすい
一方で、
- アイデアがポンポン出る
- 興味のあることには異常な集中力
- 発想が人とちょっと違う
といった尖った部分も持っていることが多い。
この「できない部分は極端にできなくて、できる部分はすごくできる」というギャップが、 「自分は凡人のまま終わるタイプではないはずだ」という期待につながりやすいのではないだろうか。
2. SNS時代の「成功ストーリー」が刺さりまくる
X(旧Twitter)、YouTube、TikTok。 自称ADHDの男性がこうしたSNSを見ていると、次のような投稿が目につきやすい。
- 「普通の会社員だった僕が、フリーランスで月100万稼ぐまでの話」
- 「ADHDでも生きやすくなった3つの働き方」
- 「好きなことで生きていくためのメンタルと戦略」
こうした「逆転ストーリー」や「自由な生き方」は、 現状にモヤモヤしている自称ADHD男性の心に、直撃しやすいだろう。
ただ、それを見続けることで、
- 「自分も何者かにならないといけない」
- 「普通の生き方=負け組」
- 「今の自分のままでは居場所がない」
といったプレッシャーも同時に抱え込んでしまうのかもしれない。
▼ 自称ADHD男性の「何者かになりたいのに動けない」3つのジレンマ
では、具体的にどんなジレンマが起きているのだろうか。 ここでは代表的なものを3つに整理してみたい。
ジレンマ①:頭の中の理想が高すぎて「最初の一歩」が重すぎる
自称ADHD男性の多くは、頭の中で理想のストーリーを描くのがうまい。
- 「ブログで月10万くらい稼げるようになって」
- 「そのうち会社辞めて、時間に縛られない生活をして」
- 「好きな場所で仕事して、平日に温泉とか行っちゃったりして」
こういう「完成形のイメージ」だけはものすごく鮮明に見えている。 しかし、現実に必要なのは、
- ブログを開設する
- 1記事目を書く
- 毎日30分だけPCを開く
といった、地味で小さくて、あまりワクワクしない一歩だろう。
このギャップが大きすぎると、脳がこう判断してしまう。
だったら、せめて完璧なスタートが切れるタイミングまで待とう」
その結果、「準備だけして動かない」「やる前から疲れる」という状態になってしまうのだろう。
ジレンマ②:短期の刺激を求めて、長期戦が続かない
自称ADHDの脳は、基本的に「今この瞬間の快・不快」に強く引っ張られる。 そのため、長期的な積み上げより、短期で刺激がもらえるものに流れやすい。
- SNSを開いた瞬間に、情報と dopamine がドバドバ
- ゲームなら、すぐにレベルアップや報酬がもらえる
- 動画なら、数秒で別の刺激に切り替えられる
一方、「何者かになる」ために必要なのは、 「地味な行動を、しばらく報酬なしで続ける力」だったりする。
このとき、脳の中ではこうした声が響いているかもしれない。
正直コスパ悪くないか?」
この感覚は、ある意味ではとても合理的だろう。 だからこそ、「何者かになりたい」と強く思う一方で、 長期戦に踏み出す勇気が出ないというジレンマが生まれてしまう。
ジレンマ③:自己肯定感がジェットコースター状態になる
自称ADHD男性の多くは、自己評価が安定しない。 むしろ、ジェットコースターのように上下することが多いのではないだろうか。
- やる気があるとき:「本気出せば自分はイケる」
- 何もできなかった日:「やっぱり自分はダメだ」
この落差があると、 「何者かになりたい」気持ちだけが先行して、 行動が追いつかない自分を責めてしまう。
すると、
- 自己嫌悪から逃げるために、さらにスマホや娯楽に逃げる
- 罪悪感がたまって、余計に動き出しづらくなる
という悪循環にハマってしまうのだろう。
▼ じゃあ、自称ADHD男性はどう動けばいいのだろうか?
ここからは、「何者かになりたいのに動けない」状態から抜けるための現実的なヒントをいくつか挙げてみたい。
ステップ1:ゴールではなく「方向性」だけ決める
まず、「何者か」の中身を、少しだけ解像度高くしておきたい。 といっても、「年収いくら」「どんな肩書き」という具体レベルまで詰める必要はない。
例えば、次のようなざっくりした方向性でもいい。
- 会社だけに依存しない生き方をしたい
- 自分の経験や考えをコンテンツとして発信したい
- 人から感謝される仕事を、自分のペースで続けたい
この「だいたいこっちの方角に行きたい」くらいの方向性が決まっていれば、 細かい目標設定は後からいくらでも変えられるだろう。
ステップ2:「完璧な一歩」ではなく「小さすぎる一歩」に変える
自称ADHD男性にとって、「完璧なスタート」はほぼ確実に呪いになる。 必要なのは、「そんなのやっても意味なくない?」と思うくらい小さな一歩だ。
例えば、ブログを始めたいなら——
- まずは「ブログ名候補を3つメモする」だけの日を作る
- 次の日は「プロフィールのたたきを200文字だけ書く」
- 1週間かけて、1記事分の見出しだけ作ってみる
このくらいの粒度であれば、「やる気がない日でもギリギリできる」ラインにおさまるだろう。
気合ゼロでも動けるサイズにタスクを切る。
この発想に変えてみるだけで、「何もしてない日」が減っていくはずだ。
ステップ3:行動のログを残して「やれてる自分」を見える化する
自称ADHD男性は、どうしても「できてない部分」ばかり見てしまう。 だからこそ、意識的に「できたこと」を記録していきたい。
おすすめは、こんなシンプルなログだ。
- スマホのメモに「今日やった1ミリ進歩」を1行だけ書く
- 日付と一緒に、「ブログ見出し1本書いた」「本を10ページ読んだ」など
これを1ヶ月続けると、 「全然動けてないと思ってたけど、意外とやれてる日もあったな」 という事実ベースの自己肯定感が生まれてくるだろう。
ステップ4:比較対象を「インフルエンサー」から「過去の自分」に変える
SNSで成功者ばかり見ていると、どうしても自分がちっぽけに見えてしまう。 そこで、比較対象を「他人」から「昨日の自分」に変えていきたい。
- 昨日より1分多く作業できたらOK
- 先月より1個多くアウトプットできたらOK
- 半年前の自分より、少しだけ思考が整理されていればOK
「何者か」になるプロセスは、他人との競争ではなく、 自分との長期戦だと割り切ってしまったほうが、心も体ももつのではないだろうか。
▼ それでも「動けない日」がある自称ADHD男性へ
ここまで色々書いてきたが、現実にはこう思う日もあるだろう。
- 今日も結局、何もできなかった
- 記事を読むだけ読んで、行動はゼロだった
- 頭ではわかってるのに、体がついてこない
そんな日があったとしても、それだけで「何者かになれない」と決まるわけではない。 むしろ、自称ADHDの特性を考えれば、動けない日のほうが自然とも言えるだろう。
大事なのは、
- 動けなかった日に、自分を過剰に責めないこと
- 「じゃあ明日、1ミリだけ何をやろうか」と考えること
この「責める」から「調整する」への切り替えこそが、 長期的に見てQOLを上げ、結果的に「何者か」に近づく一番の近道かもしれない。
▼ まとめ|何者かになりたい自称ADHD男性へ伝えたいこと
最後に、この記事のポイントをざっくり振り返っておきたい。
- 自称ADHD男性が「何者かになりたい」と感じやすいのは、脳のクセと時代背景の掛け算かもしれない
- 理想が高すぎて最初の一歩が重くなるジレンマがある
- 短期の刺激に流れやすく、長期戦が苦手という特性もある
- 自己肯定感がジェットコースターになりやすい
- だからこそ、「完璧なスタート」ではなく「小さすぎる一歩」を大事にしたほうがいい
- ログを残して、「やれている自分」を見える化すると自己評価が安定しやすい
何者かになりたいのに動けない——その感覚は、 決してあなただけのものではないし、怠けでも甘えでもないだろう。
「今のままじゃ嫌だ」と感じている時点で、もうすでに一歩目は踏み出している。 あとはその気持ちを、今日の「小さすぎる行動」に変えられるかどうか、だけなのかもしれない。
このページを閉じたあと、 たった1分でも、何かをメモしてみるだろうか。 その1分が、いつか「あのときの最初の一歩だった」と振り返る日につながるかもしれない。


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