僕は昔、気がつけばネットサーフィンで一日が終わり、気がつけば休日の夕方になり、気がつけば「今日も何もできなかった」と反省会をしている自称ADHDだった。
何かを変えようとして、気合いでルールを作ったこともある。だが、そういうルールほど続かない。理由は簡単で、元気な時の自分を基準にしていたからだろう。毎日同じ体力、同じ集中力、同じやる気で生きられる人なんて、そんなに多くない。
だから僕は考え方を変えた。根性で生活を整えるのではなく、なるべく考えなくても回る仕組みを作ることにした。
その結果、今の僕は完璧ではないにせよ、以前よりずっと生活を回せている。この記事では、極力体力を使いたくない自称ADHDの僕が、日常を破綻させないために作った小さな仕組みを4つ紹介する。
自称ADHDの僕が生活を回すうえで大事だと思ったこと
先に結論を書くと、僕に必要だったのは「もっと頑張ること」ではなかった。必要だったのは、頑張らなくても最低限が回る設計だった。
- 無茶な目標を立てない
- 毎日悩むポイントを減らす
- ルールを日常の流れに埋め込む
- 散らかりをためすぎない
習慣形成の研究では、行動は安定した文脈で繰り返すほど自動化しやすいとされる。つまり「やる気のある日に頑張る」より、「同じ場面で同じことをやる」方が続きやすい。 (https://openresearch.surrey.ac.uk/esploro/outputs/journalArticle/How-are-habits-formed-Modelling-habit/99783513802346)
ルール① 早起きして、やりたいことは午前に寄せる
正直、午前と午後なら午前の方がまだマシだと思う。少なくとも僕はそうだ。仕事終わりにやりたいことをやろうとしても、もう脳みそが閉店している日が多い。
だから僕は、できるだけ「自分のためのこと」を朝に寄せるようにした。朝に少しでもやれれば、その日はそれだけで勝ちやすい。逆に夜に全部回す設計にすると、仕事や疲れに負けた瞬間に全部崩れる。
ADHDと睡眠・体内リズムのレビューでは、ADHDはより夜型・遅いクロノタイプと関連しやすいことが報告されている。つまり、夜に崩れやすいのを性格のせいにしすぎない方がいい。だからこそ、「夜に根性で回収する」より「朝に先回りする」方が現実的だろう。 (https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28064405/)
僕の考え
朝活をキラキラしたものとして語る気はない。ただ、夜の自分を信用しすぎないための保険として、午前に寄せるのはかなり合理的だと思う。
こんな人に向いている
- 仕事終わりに何もできず自己嫌悪になりがちな人
- 夜にスマホで時間を溶かしやすい人
- 「あとでやろう」で毎回終わる人
ルール② 平日の服は2〜3パターンに固定する
毎朝「今日なに着よう」と考えるの、地味にしんどくないだろうか。僕はあれでかなり削られていた。服そのものが好きなら別だが、僕はそこに気力を使いたくない。
だから平日の服は、最初から2〜3パターンに固定した。月水金はこれ、火木はこれ、みたいにざっくり決めておく。ユニクロやGUで似た方向の服をいくつか買って、着回しやすいようにしている。
このルールの良さは、朝の判断回数が減ることだ。実行意図の研究では、「もし○○なら△△する」という具体的な形で決めておくことが、行動実行を助けるとされる。服選びも同じで、「平日の朝になったら、このパターンを着る」と先に決めておけば、その場の迷いが減る。 (https://www.sciencedirect.com/science/chapter/bookseries/pii/S0065260106380021)
僕の考え
おしゃれを捨てろ、という話ではない。普段の自分にとって優先順位が低いなら、そこは自動化していい、という話だ。僕は服で消耗するより、出勤までの体力を温存したい。
こんな人に向いている
- 朝の支度で毎回バタつく人
- 服選びに時間を溶かしている人
- 洗濯後にコーデを考えるのが面倒な人
ルール③ 朝食・昼食・夕食は「基本パターン」を決めておく
僕は食にそこまで強いこだわりがない。だからこそ、毎回「今日何食べよう」と考えるのが無駄にしんどい。
なので、平日の食事はある程度パターン化した。たとえば朝はバナナ、プロテイン、食パン。昼はブロッコリー、おにぎり、ゆで卵、スープ。夜はサラダ、鍋、納豆ごはん。このあたりを基本にしている。
もちろん毎日完全に同じではない。外食する日もあるし、友達に誘われたら普通に食べに行く。大事なのは、何も考えていない日の初期設定を持っておくことだ。
習慣形成の研究は、同じ状況で同じ行動を繰り返すことが自動化に近づくと示している。食事パターンを決めておくのは、意思力を鍛える話ではなく、「悩まないで決められる初期値を作る」話だろう。 (https://openresearch.surrey.ac.uk/esploro/outputs/journalArticle/How-are-habits-formed-Modelling-habit/99783513802346)
僕の考え
食事を楽しむ日と、燃料として済ませる日を分けた方が僕には合っていた。全部を特別にしようとすると、全部が面倒になる。
こんな人に向いている
- 食事を考えるだけで疲れる人
- コンビニで毎回うろうろしてしまう人
- 食費と気力の両方を節約したい人
ルール④ 週1回、床にあるものを全部上げる
僕は気がつくと床が物置になる。服、紙袋、よくわからないメモ、ちょっと置いただけの物。あれが積もると、部屋全体が「今ちょっと無理です」という顔になってくる。
だから僕は、週に1回だけ「床にあるものを全部上げる日」を作った。ここで大事なのは、完璧な片付けを目指さないことだ。まず床から物をなくす。細かい仕分けは後回しでもいい。とりあえず床面を取り戻す。
視覚刺激が多いと、注意資源は競合しやすい。神経科学の研究でも、複数の視覚刺激は神経表現を競合させることが示されている。散らかった床は単なる見た目の問題ではなく、「注意があちこちに引っ張られる環境」になりやすい。だから、床リセットは意外と効果が大きい。 (https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21228167/?utm_source=chatgpt.com)
僕の考え
全部きれいにしようとすると、僕はやらなくなる。だから床だけでいい。床が見えると「まだなんとかなる」と思えるし、かなり絶望しにくくなる。
こんな人に向いている
- 部屋が散らかると一気にやる気が落ちる人
- 片付けが苦手すぎて手をつけられない人
- 完璧主義で逆に放置しがちな人
結局、自称ADHDの日常を回すコツは「頑張る前提をやめる」ことだった
僕は昔、「もっと頑張れば回せる」と思っていた。でも実際は逆だった。頑張らないと回らない設計にしていたから、回らなかった。
今の僕が意識しているのは、この4つだ。
- やりたいことは朝に寄せる
- 平日の服は2〜3パターンにする
- 食事は基本パターンを決めておく
- 週1で床をリセットする
どれも派手ではない。だが、自称ADHDの僕にとっては、こういう地味なルールの方がよほど効いた。生活を立て直すのに、毎回人生を変えるような大改革はいらない。小さい仕組みを作って、なるべく脳を疲れさせないことの方が大事だろう。
もし今の自分に「ADHDかも」「普通の生活を回すだけでしんどい」と感じているなら、まずは一つだけ真似してみてほしい。全部を一気に変えなくていい。ひとつ回ると、次が少しだけ回しやすくなる。
参考文献
- Lally P, van Jaarsveld CHM, Potts HWW, Wardle J. How are habits formed: Modelling habit formation in the real world. European Journal of Social Psychology. 2010. [oai_citation:6‡オープンリサーチサリー](https://openresearch.surrey.ac.uk/esploro/outputs/journalArticle/How-are-habits-formed-Modelling-habit/99783513802346)
- Gollwitzer PM, Sheeran P. Implementation Intentions and Goal Achievement: A Meta-analysis of Effects and Processes. Advances in Experimental Social Psychology. 2006. [oai_citation:7‡サイエンスダイレクト](https://www.sciencedirect.com/science/chapter/bookseries/pii/S0065260106380021)
- Coogan AN, McGowan NM. A systematic review of circadian function, chronotype and chronotherapy in attention deficit hyperactivity disorder. Atten Defic Hyperact Disord. 2017. [oai_citation:8‡PubMed](https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28064405/)
- McMains S, Kastner S. Interactions of top-down and bottom-up mechanisms in human visual cortex. Journal of Neuroscience. 2011. 視覚刺激の競合に関する説明として参照。 [oai_citation:9‡PubMed](https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21228167/?utm_source=chatgpt.com)
※この記事は医療的な診断や治療を目的としたものではなく、筆者の体験に研究知見を補足した生活改善記事です。


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