エアコンをつけていても頭はぼんやり、食欲も落ち、仕事や家事に手がつかない。「何もしてないのに、疲れる」という感覚を抱えている人も多いのではないだろうか?
そんな“やる気の死んだ夏”に、僕たちはどう向き合えばいいのだろう。
今回は、「報酬系=脳が快感を覚える仕組み」をうまく使って、夏バテの中でもほんの少しだけ自分を動かすライフハックを紹介してみたい。
体力も気力もギリギリだけど…それでも「人生がちょっとだけ豊かになった」と感じられるコツがあれば、知っておいて損はないはずだ。
報酬系って何だろうか?
報酬系とは、簡単に言えば「快感を得るために動く脳のシステム」だ。
脳は「これをやれば気持ちよくなる」「これを食べたら楽しい」と学習していく。それがドーパミンという神経伝達物質によって動かされる仕組みになっている。
要は「うれしいことが待ってるなら、ちょっとだけ頑張れる」というスイッチが人間の脳には標準装備されているということだ。
でも、夏バテのときはどうだろう?
夏の暑さは体力だけでなく、脳の働きも鈍らせる。エネルギーが消耗されて、報酬系のスイッチすら入りにくくなる。
つまり、やる気が出ないのは「甘え」ではなく、「脳が反応しない状態」だからではないだろうか?
では、そのスイッチを入れるにはどうすればいいのだろうか?
1. “小さなご褒美”で脳をだます
例えば、僕が実践しているのは「洗濯物を畳んだらアイスを食べていい」ルールだ。
この“脳へのエサ”のような仕組みは、くだらないように見えて実は報酬系をうまく刺激している。
ポイントは、「簡単な作業」と「ちょっと嬉しいご褒美」をセットにすることだ。
- メールを1通返したら、好きなYouTube動画を5分だけ見ていい
- ゴミを捨てたら、ガリガリ君を食べていい
- 10分だけ作業したら、スマホチェックOK
馬鹿らしいくらい簡単でいい。重要なのは「達成感」と「快感」を紐づけることではないだろうか?
2. ご褒美は“タイムラグあり”が効果的?
人間の脳は、予測の時点でドーパミンを放出する。
つまり、「あれを終えたら、あれが待っている」と想像したときに、すでにモチベーションが上がっているということだ。
この性質を逆手にとって、「週末にお気に入りのラーメンを食べに行く」など、中期的なご褒美も有効ではないだろうか?
実際に得る快感よりも、「もうすぐ手に入る!」という予感のほうが人を動かすこともある。
3. “ルーティン化された快”を仕込む
報酬系は「慣れる」と効かなくなる。だからこそ、“毎回違う楽しみ”よりも、“習慣的に心地いいもの”を生活の中に組み込んでおくのも手ではないだろうか?
例えばこんな風に:
- 朝の1曲を「お気に入りのBGM」で固定する
- 夜寝る前に「香りのいいスプレー」を使う
- 午前中だけは「カフェオレOK」にする
「これは自分の小さな楽しみだ」と思える習慣を作れば、脳は徐々に「動けば気持ちいい」と学習していく。
4. “動かない自分”も肯定してやる
一番大切なのは、「今日も何もできなかった」と自分を責めないことではないだろうか?
むしろ、「報酬系すら動かないほど疲れている自分、よく生きてる」と肯定してやってもいい。
そうやって自己肯定感の土台を作ることも、結果的には報酬系の回復につながる。
まとめ:「動けない」のは脳のシステムが疲れているだけかもしれない
僕たちはつい、自分の“やる気”のなさを「根性の問題」として扱いがちだ。
でも実際は、報酬系という脳のシステムが働きにくくなっているだけかもしれない。
だったら、「少しだけ脳が気持ちよくなる行動」を、ゆるく・丁寧に生活に取り入れてみることはできないだろうか?
人生を豊かにするとは、なにも大きな成功を収めることだけではない。
今日をちょっと心地よく終える。それだけで、明日はもう少し生きやすくなる——そんな感覚を、大事にしていきたい。
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