やることは山ほどあるのに、体はソファに沈んだまま。 締切が近づくまで動けないのに、興味のあることには一晩中没頭してしまう。 そんな「自称ADHDっぽい生きづらさ」を抱えている人は、20〜40代にかなり多いのではないだろうか。
かくいう僕も、「極力体力は使いたくない30代の男」として、 「いかにサボりながらQOLを上げるか」ばかり考えている人間だ。
この記事では、「自称ADHDだけど、なるべく楽して生きたい」という人に向けて、 今日から試せるQOL向上方法を7つに絞って紹介していきたい。 どれも根性論ではなく、仕組みと環境のチューニングでなんとかする方向だ。
※医学的な診断・治療の話ではなく、「自称ADHD的な生きづらさ」を抱える人の日常を、少しでも楽にするための生活術として読んでもらえたら嬉しい。
QOL向上方法①:脳を信用せず「外部脳」をフル活用する
スマホ・紙・アプリにぜんぶ丸投げして、自分の脳は「考えること」専用にする。
自称ADHDの人にとって、もっともQOLを削ってくるのは、「覚えておく負担」ではないだろうか。
- 「あの連絡しないと」が頭の片隅に居座り続ける
- やらなきゃいけないことを思い出しては、モヤモヤする
- 予定を忘れそうで、常に落ち着かない
これは、脳内の「ワーキングメモリ」が常に埋まっている状態に近い。 ここにさらに新しい情報を詰め込もうとするから、すぐパンクしてしまうのだろう。
◆ 外部脳の基本セット
最低限、これだけ押さえておけばいい。
- 予定:カレンダーアプリ(リマインド通知必須)
- タスク:1つのToDoアプリ or メモアプリ
- アイデア・メモ:スマホのメモ or LINEの自分宛てトーク
ポイントは「1ジャンル1つ」に絞ることだろう。 「あのメモどこだっけ?」となった瞬間に、またQOLは削られる。
◆ 「あとで書く」は禁止ルールにする
「あとでメモしよう」は、ほぼ確実に忘れる。 だから、「思いついた30秒以内にメモ」を自分ルールにしてしまう。
- 歩いているとき ➝ 立ち止まって一度メモ
- 会話中 ➝ 「ちょっとメモしていい?」と一言断る
- 仕事中 ➝ PCのメモアプリは常に開いたままにする
「覚えておく努力」を手放すだけで、頭のノイズはかなり減る。 それだけでも、毎日の疲れ方はだいぶ変わってくるだろう。
QOL向上方法②:集中できない自分を前提にした「環境デザイン」
自称ADHDの人は、「集中力をつける」「気合を入れる」といった発想と相性が悪い。 それよりも、集中できない前提で環境をいじるほうがQOLは上がりやすいだろう。
◆ 机の上は「3アイテム」までにする
集中力を邪魔するのは、だいたい視界の情報量だ。
- 机の上に本・書類・ガジェットが乱立している
- 必要以上の文房具が並んでいる
- 飲みかけのカップたちがコレクション化している
こうなると、目に入るすべてが「未処理タスク」として脳を消耗させてしまう。 そこでおすすめなのが、「机の上は3アイテムまで」ルールだ。
例えば——
- PC
- 飲み物
- 今日のメモ用ノート
これだけ。たったこれだけでも、驚くほど頭が静かになるだろう。
◆ スマホは「物理的に遠ざける」しかない
スマホ通知の誘惑に勝てる自信はあるだろうか? 私は、まったくない。だから、物理的に視界から消すしかない。
- 仕事中はカバンの中に入れて、別の部屋に置く
- ベッドの近くには充電器を置かない
- アプリ通知は「電話・LINEなど最低限」だけ残す
「見えないもの」は、意外と平気で忘れられる。 意志力ではなく、物理距離で対策したほうが楽だろう。
QOL向上方法③:体力の「使い道」を決めてしまう
「何に使うか」を最初に決めておくほど、消耗しにくくなる。
自称ADHDの人は、精神的にも肉体的にも、毎日「フルマラソンを走っている感覚」になりがちだろう。 それなのに、「みんな普通にやってるのに、自分だけ疲れている」と自己嫌悪に陥ってしまう。
ここで発想を変えたい。 「自分の体力は、人より少しだけレアな資源」だと仮定してみるのだ。
◆ 1日の「優先順位トップ3」だけ決める
やることが10個あったとしても、本当にQOLを左右するのは上位3つ程度ではないだろうか。
- 今日は「仕事のこのタスク」さえ終わればOK
- 最低でも「洗濯だけできれば合格」
- 夜は「寝る前30分スマホを触らない」だけ頑張る
このように、「体力をどこに使うか」をあらかじめ決めておく。 それ以外の細かいタスクは、「できたらラッキー」扱いにしてしまう。
「全部ちゃんとやる」から「大事な3つだけ押さえる」へ切り替えることで、 自己評価も、毎日の満足感も、ゆるやかに上がっていくだろう。
QOL向上方法④:自動運転できる「マイルーティン」を1つだけ作る
それが日々の安定のベースになる。
自称ADHDの人は、ルーティン作りが苦手だと言われがちだろう。 しかし、実際には「大きすぎるルーティン」を設定して挫折していることが多い。
◆ ルーティンは「3分以内」で終わるものだけ
朝活・筋トレ・日記・瞑想…。 こうした習慣は素晴らしいが、全部やろうとすれば確実に折れる。
そこで、ルーティンは「3分以内で終わるものを1〜2個だけ」に絞ってしまう。
例えば、朝なら——
- 起きたらカーテンを開けて、水を飲む
- スマホを触る前に、今日やることを1行だけメモ
夜なら——
- 寝る30分前に、スマホを充電スペースに置いておく
- 「今日できたこと」を1つだけメモする
これだけでも、1日の始まりと終わりに「自分でコントロールしている感覚」が生まれる。 それが、QOLの土台としてじわじわ効いてくるだろう。
QOL向上方法⑤:先延ばしと「うまく付き合う」仕組みを作る
敵にするのではなく、扱いやすくチューニングする。
自称ADHDの人がもっとも自分を責めやすいのが、この先延ばしだろう。
- 支払いギリギリ
- 返信ギリギリ
- 締切ギリギリ
しかし、ここで大事なのは、先延ばしを「完全に消そうとしない」ことだ。 なぜなら、それは脳にとって「短期的には一番楽な選択」だからだろう。
◆ 「15分だけモード」を標準装備する
先延ばしと折り合いをつけるためにおすすめなのが、「15分だけモード」だ。
- キッチンタイマーやスマホで15分セット
- タイマーが鳴るまでは、とりあえずタスクに触れてみる
- 15分経ったら、本当にやめてもいい
不思議なことに、一度「開始」してしまうと、そのまま続けられることが多い。 それでも続かなかったら、その日は本当に体力がなかった日なのだろう。 そういう日は、ちゃんと休んだほうがQOLは上がる。
QOL向上方法⑥:人間関係を「減らす勇気」を持つ
自分のペースを尊重してくれる人にだけ、残りの体力を分ける。
自称ADHDの人は、普通以上に人間関係で疲れやすいのではないだろうか。
- 予定が詰まると一気につらくなる
- メッセージのやり取りだけでヘトヘトになる
- 人に合わせすぎて、自分の時間がなくなる
ここで少し、発想を変えてみたい。 「人間関係もサブスク」だとしたら、ちゃんと解約してもいいのではないだろうか。
◆ 「距離を置いてもいい人リスト」を頭の中で作る
もちろん、紙に書いてもいいが、イメージだけでもいい。
- 会うとぐったりする相手
- 常にこちらの時間を奪ってくる相手
- 自分を否定する言葉が多い相手
こういう人たちとは、少しずつ物理的・心理的な距離をとる。 返信を遅くする・誘いを断る・「最近忙しくて」と正直に伝える——どんな形でもいい。
その分、
- だらっとしていても安心できる人
- 弱音を吐いても受け止めてくれる人
- 連絡が途絶えても気まずくならない人
のために、体力を残しておきたい。
人間関係は「多さ」ではなく、「呼吸のしやすさ」で選んだほうが、QOLは確実に上がるだろう。
QOL向上方法⑦:「できていない自分」より「できている自分」を見る
自分を見るレンズを変えるだけで、生き心地はかなり変わる。
自称ADHDの人は、失敗や抜け漏れが多くなりやすい。 そのぶん、自己肯定感が削られやすい構造になっていると言っていいだろう。
- また先延ばししてしまった
- また約束の時間を間違えた
- また部屋を散らかしてしまった
こうして「できなかったリスト」を積み上げていくと、QOLはじわじわ下がっていく。 だからこそ、意識的に「できているリスト」を可視化したい。
◆ 寝る前30秒の「できたことメモ」習慣
やり方は、とてもシンプルだ。
- 寝る前にメモアプリかノートを開く
- 「今日できたこと」を1〜3個だけ書く
- どんな小さなことでもいい(例:ちゃんと歯を磨いた、外に出られた、仕事に行った)
ポイントは、「こんなの当たり前だろう」レベルも全部カウントすることだ。
続けていくと、 「自分はダメだ」ではなく、「意外とちゃんとやれていることもあるじゃないか」 という感覚が、少しずつ積み重なってくるだろう。
自称ADHDでも、QOLは「工夫次第」でじわじわ上げていけるだろう
ここまで、自称ADHDのQOLを上げるための方法を7つ紹介してきた。
- 脳を信用せず「外部脳」をフル活用する
- 集中できない前提で「環境」をいじる
- 体力の「使い道」をあらかじめ決める
- 3分以内の「マイルーティン」を1つだけ作る
- 先延ばしとケンカせず、「15分だけ」で折り合う
- 人間関係を減らし、「呼吸しやすい相手」に絞る
- 「できていない自分」ではなく「できている自分」を見る
どれも、小さな工夫に見えるかもしれない。 しかし、QOLは「大きな変化」よりも、こうした小さな調整の積み重ねでじわじわ変わっていくものだろう。
全部やる必要はない。 「これはできそうだな」と感じたものを、ひとつだけ拾って、今日から試してみてほしい。
自称ADHDで、体力も少なめ。 それでも、今より少しだけ楽に生きる道は、きっとまだ残っているはずだ。 その道を一緒に探していけたらと思う


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