年末年始。 世間では「楽しい」「ワクワク」「家族団らん」といった言葉が飛び交う時期だが、 自称ADHDにとっては一年で最も消耗しやすい期間ではないだろうか。
予定が増える。 人と会う機会が増える。 出費が増える。 生活リズムが崩れる。 SNSには「充実した年末年始」が溢れる。
かくいう私も、極力体力を使いたくない人間として、 年末年始が近づくたびに「どうやってダメージを最小化するか」ばかり考えている。
この記事では、 自称ADHDが年末年始を“無事に生き抜くために備えておくこと”を、 精神論ではなく現実的な準備と考え方に絞って整理してみたい。
※ここでいう自称ADHDは、診断名ではなく「生きづらさ・抜けやすさ・消耗しやすさを自覚している人」を指します。
▼ なぜ自称ADHDにとって年末年始はしんどいのだろうか?
まず前提として、 なぜ年末年始がこれほどまでに消耗しやすいのかを整理しておきたい。
1. 予定・刺激・例外が一気に増える
自称ADHDは、ルーティンが崩れると一気に調子を崩しやすい。
- 仕事納め・仕事始めで生活リズムが変わる
- 帰省・親戚・友人との集まり
- 普段行かない場所、普段しない行動
これらはすべて、脳にとって「例外処理」だ。 例外処理が続くと、脳はあっという間に疲弊してしまうだろう。
2. 「ちゃんとしなきゃ圧」が強まる
年末年始は、なぜか「ちゃんとしている人」像が強調されやすい。
- 年末の挨拶
- 帰省マナー
- お年玉・年賀状・お礼
自称ADHDにとって、この「暗黙の正解」が一番消耗する。 何をどこまでやれば合格なのか、判断がつかないからだ。
3. SNSで自己肯定感が削られやすい
年末年始のSNSは、 他人のハイライト集になりがちだ。
- 幸せそうな家族写真
- 充実した帰省
- 成長を振り返る投稿
これらを見続けると、 「自分は何もできていない」「ちゃんと生きてない」 という感覚に陥りやすいのではないだろうか。
▼ 自称ADHDが年末年始に“やらなくていいこと”を決めておく
まず最初にやるべき備えは、 「やること」ではなく「やらないこと」を決めることだ。
◆ 無理な帰省・集まりは減らしていい
体力やメンタルに不安があるなら、 すべての集まりに参加する必要はない。
- 短時間だけ顔を出す
- 今回は見送る
- 体調を理由に断る
自称ADHDにとって、 「参加するだけでHPが削られる予定」は、最初から減らしておいたほうがいいだろう。
◆ 完璧な年末年始を目指さない
掃除・片付け・挨拶・振り返り・目標設定。 全部やろうとすると、確実に疲弊する。
「できたらいいな」ではなく、 「最低限これだけできればOK」ラインを先に決めておくのがおすすめだ。
▼ 自称ADHDが年末年始“前”に備えておくべきこと
① 生活インフラを先に整えておく
年末年始に体調や気力が落ちるのは、ほぼ確実だ。 だからこそ、元気なうちに生活の下支えを作っておく。
- 冷凍食品・レトルトを多めにストック
- 洗濯・掃除を最低限済ませておく
- ゴミ出しスケジュールを確認しておく
「何もしなくても生きられる状態」を作っておくと、 年末年始の精神的な余裕が段違いになるだろう。
② お金の不安を先に潰しておく
年末年始は出費が増える。 そして自称ADHDは、お金の不安がメンタルに直結しやすい。
- 使っていい金額の上限を決める
- クレカの明細を一度確認する
- 「使ってもOK枠」を意識的に作る
お金の不安が減るだけで、 人付き合いやイベントへの耐性も上がるだろう。
③ 年末年始の「理想像」を下方修正する
多くの苦しさは、 「こうあるべき」という理想とのギャップから生まれる。
年末年始の理想を、あらかじめ下げておこう。
- ダラダラしてもOK
- 何も成し遂げなくてもOK
- 回復できたら合格
「休めたら勝ち」くらいの基準でちょうどいい。
▼ 年末年始の“最中”に意識したい自称ADHD向けサバイバル術
① 1日の予定は「1イベントまで」にする
自称ADHDは、予定が重なるほど消耗する。 年末年始は特に、1日に1つ以上の予定を入れないのがおすすめだ。
- 昼に予定があるなら夜は何もしない
- 外出したら、その日はもう十分
これだけで、体力の消耗がかなり抑えられる。
② SNSとの距離を意識的に取る
年末年始のSNSは、 自称ADHDの自己肯定感を削る罠が多い。
- 見る時間を決める
- 通知を切る
- アプリを一時的に消す
比較しない環境を作ることも、 立派なセルフケアだろう。
③ 「何もしない日」を予定として入れておく
何もしない日は、 後ろめたさを感じやすい。
だからこそ、 「休む日」をあらかじめ予定に入れておく。
予定に入っていれば、それはサボりではなく計画になる。
▼ 年末年始が終わったあとに自称ADHDがやるべきこと
① 無理な目標設定をしない
年始といえば目標設定。 だが、自称ADHDにとって高すぎる目標は毒になりやすい。
- 「完璧にやる」ではなく「続けられたらOK」
- 数値目標より行動目標
1月はリハビリ期間くらいに考えてちょうどいいだろう。
② 「年末年始を乗り切った自分」を評価する
大きなことをしていなくてもいい。
- 生きていた
- 体調を崩さなかった
- 大事故なく終えた
それだけで、十分に価値がある。
▼ まとめ|自称ADHDの年末年始は「耐える」のではなく「設計する」
年末年始は、 自称ADHDにとって避けられないイベント期間だ。
だからこそ、
- 頑張らない前提で準備する
- 消耗を最小化する設計をする
- 休むことを予定に組み込む
この3つを意識するだけで、 年末年始は「しんどいだけの時期」から 「なんとか乗り切れる期間」に変わるだろう。
自称ADHDが今を生き抜くコツは、 自分を変えることではなく、 環境と期待値を下げることなのかもしれない。
今年の年末年始は、 少しだけ自分に甘くしてみるだろうか。 それもまた、生き抜くための立派な戦略だ。



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